世界遺産の貴重な洞窟の壁画を間近で見られるラスコー展に行きました

牛と馬の壁画

常設展の他に、期間限定で特別展を開催している上野の国立科学博物館。今の時期には、世界遺産に登録されているラスコー洞窟の壁画に関する展覧会が行われています。今回は、国立科学博物館のラスコー展を見に行きました。

目次

ラスコー展の概要

ラスコー展とは、約2万年前にクロマニョン人が残したラスコー洞窟の壁画を解説した展覧会です。開催場所は、東京の上野公園内にある国立科学博物館です。開催期間は2016年11月1日〜2017年2月19日で、開催時間は午前9時〜午後17時(金曜日は20時)になります。毎週月曜日と年末年始は休館日になっているので注意してください。10月31日まで購入可能な前売券を持っていない場合には、国立科学博物館の入り口で当日券を購入します。入場料は、大人が1600円で、高校生以下の子供が600円になります。

また、ラスコー展の入場チケットを持っている場合には、当日に限り常設展が無料で見られます。常設展とラスコー展のどちらを先に見ても構いません。ただし、常設展の場合は総合案内に言えば再入場が可能ですが、ラスコー展はできません。さらに、常設展の「シアター36○」では、12月と2月の平日限定でラスコー展に合わせた特別展連動上映が行われます。それ以外の期間には、通常通りの上映が行われています。こちらも無料になりますので、是非利用してみてください。

国立科学博物館への交通アクセス
国立科学博物館は上野公園の敷地内にあり、JR「上野」駅の公園口から徒歩5分です。または、東京メトロ銀座線と日比谷線「上野」駅から徒歩で10分になります。

ラスコー展の様子

今回は、平日の午後13時過ぎにラスコー展へ行ってきました。

ラスコー展の入場チケット

当日券を購入した後に、撮影やスマホの使用に関する説明を受けてから会場へ入ります。入り口では、声優の恒松あゆみさんがナビゲートする音声ガイドを販売しています。貸出料金は520円で、収録時間は約35分になります。

ラスコー展解説パネル

国立科学博物館の企画展に行ったことがない人は知らないかもしれませんが、ラスコー展の各章には上の写真のような解説パネルが多く掲載されています。また、その他にもラスコー洞窟やクロマニョン人について説明した5分ほどのシアターが幾つかあります。このような解説をしっかりと読むことで、ただ展示物を見るだけよりも理解が深まります。実際に、私はラスコー洞窟について全く事前知識がありませんでしたが、解説を読み進めることで十分に楽しむことができました。

クロマニョン人の模型

約2万年前に、ラスコー洞窟の壁画を描いたクロマニョン人の模型です。現代の人間と外見はあまり変わらない気がします。

ラスコー洞窟全体図

ラスコー洞窟は上の写真のように幾つかの部屋や通路に分かれており、全長はおよそ200メートルにもなります。この巨大な洞窟の中に、鮮やかな色彩でおよそ600頭もの動物が描かれました。

ラスコー洞窟再現模型

最新テクノロジーを使ってラスコー洞窟を10分の1の大きさに再現した模型です。

ラスコー洞窟内部

模型をのぞいてみれば、洞窟の内部がどのような様子であったのか知ることができます。また、洞窟の部屋ごとに違いを探して見比べるのも面白いです。そして、模型の近くには洞窟の中で使用されていた道具が展示されています。その中でも、暗闇を照らすために使用されたランプは日本初公開で、壁画に使われた絵の具に関してはなんと世界初公開になっています。こうしたラスコー洞窟の再現模型や道具の展示を見ることで、クロマニョン人がどのようにして壮大な壁画を描いたのかイメージが湧いてきます。

牛と馬の壁画

そして、今回の展覧会で最大の見所になっているのが実物大の壁画です。レーザー測量技術によって1ミリ以下の精度で復元された壁画(「ラスコー3」と呼ばれています)が展示されています。フランスにある本物のラスコー洞窟は現在閉鎖されていますので、それと同じものを日本にいながら間近で見られるのはとても貴重な体験です。残念ながら洞窟の全てが再現されているのではなく、ここでは「身廊(しんろう)」と「井戸状の空間」にある5つの壁画のみ鑑賞できます。上の写真は、ウシとウマの群れが描かれています。

牛の壁画拡大

アップで見るとこんな感じです。黒や茶色の色彩で描かれており、奥行きも感じられます。石や粘度から作られた絵の具をもとに、指や動物の毛で彩色したとは思えないリアルさです。なお、この展示がある部屋は一定時間ごとに明るさが変わっていき、暗くなったときには動物の輪郭部分にある線刻が青く光ります。ただし、フラッシュ撮影は禁止されているので撮影は難しいと思います。

泳ぐシカの壁画

上の写真は「泳ぐシカ」です。5頭のシカが同じように横向きで顔を出しており、まるで群れで川を泳いでいるように見えます。

背中合わせのバイソンの壁画

こちらは「背中合わせのバイソン」です。近くにいるバイソンの色を相対的に濃くすることで、立体感を表現しています。

井戸の場面の壁画

こちらは「井戸の場面」という壁画です。

トリ人間の壁画

バイソンの左側に描かれているのは、鳥の頭をした謎の「トリ人間」です。

オオツノジカのレプリカ

クロマニョン人がいた時代に生息していた「オオツノジカ」のレプリカです。史上最大級のシカで約2メートルの高さがあり、頭部には大きな角を持ちます。

撮影に関する注意事項

展示品の一部はカメラで写真撮影が可能です。ただし、撮影禁止の案内がある展示については当然ながら撮影はできません。例えば、第3章「洞窟に残されていた画材、道具、ランプの謎」にあるガラスケース内の展示や、第6章「クロマニョン人の世界」ではクロマニョン人の復元模型以外は全て撮影不可です。実物大のラスコー洞窟の壁画は撮影が可能ですが、フラッシュ撮影は禁止されています。また、撮影禁止の案内がなくても、シアターの映像やディスプレイの動画などは撮影ができません。動画撮影に関しては、全てのエリアで許可されていません。

客層

訪問した時間帯も影響していると思いますが、年配の方が多くて子供は見かけませんでした。ただし、コンピュータを使った壁画の模写体験や壁画の写真から動物を見つけるクイズなど、子供が楽しめるようなちょっとした遊びもあります。

所要時間

全ての展示や映像を見るのに1時間30分〜2時間くらいかかります。これに加えて、会場内の途中にある休憩エリアで休んだり、お土産をじっくりと見たりする場合には、その分の時間が必要です。

混雑状況

平日の昼間に訪問したところ、比較的混雑していました。展示を見る際に、前の人が見終わるのを待たなければいけないケースが何度かありました。それでも、チケット売り場には行列ができていませんでしたし、会場内も特に不満なく鑑賞できるレベルです。より空いている時間帯を狙うのであれば、金曜日の夜19時あたりが穴場という情報を頂きました。

感想

今回は、国立科学博物館のラスコー展に行ってきました。解説が分かりやすく、全く知識のなかった私でも理解を深めることができました。国立科学博物館の特別展はここ最近は毎回来ていますが、個人的にはハズレがなくて後悔したことはありません。特に実物大の壁画が素晴らしく、これを見るだけでもお金を支払う価値があると感じました。今回の記事では、展示品のほんの一部しか紹介していません。来年の2月まで開催しているので、是非行ってみてください。

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