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ふるさと納税は誰の負担によって成り立っているか、使い道で返礼品を選ぶことの意味

ふるさと納税の負担

ふるさと納税といえば、少子高齢化などで苦しんでいる地方の市町村を応援できて、しかも寄付をした人は少額の支出で特産品がもらえるように、一見すると誰もが得をするようなWin-Winの関係であるように思えます。しかし、本当に誰にも負担を押し付けることがない素晴らしい制度なのでしょうか?今回の記事では、寄付をした際に得をする人と損をする人について説明し、ふるさと納税のより良いやり方について考えていきます。
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ふるさと納税で得をする人や団体

ふるさと納税で寄付をするとどのようにお金が巡っていくのかあまり意識をしたことがない人は多いと思います。ここでは、ふるさと納税をすることによって金銭的に得をする人や団体について説明していきます。

寄付者

まず最初に、寄付者にメリットがあります。「税金を多く支払っている高額所得所は、ふるさと納税をしないと損をする」というような記事をよく見かけます。ふるさと納税の本質は地方公共団体への単なる寄付ですから、通常であれば応援したいという気持ちが重要となり、寄付者には経済的な恩恵はないはずです。

しかし、実際には寄付した人に経済的なメリットがあります。ふるさと納税には一定の限度額までは寄付した金額から2千円を除いた全額が税額控除される仕組みが設けられています。これだけでは2千円の支出になるので金銭的なメリットはありませんが、これに加えて自治体側が、「寄付してくれたお礼として」や「市町村の特産品について知ってほしいため」といった建前で特産品を届けてくれることが合わさり、寄付者は得をするわけです。例えば、5万円のふるさと納税をして還元率が4割の特産品をもらった場合、寄付者は自己負担2千円で2万円相当の品物が購入できることになり、差額の1万8千円が得をします。

寄付を受けた自治体

寄付を受けた自治体は基本的に歳入が増えます。ただし、全額が自治体の財源になるわけではありません。例えば、後述するように返礼品を提供してくれたサポート企業への支払いやふるさとチョイスなどのシステム使用料、ふるさと納税の業務に必要な人件費などを差し引いた残りが、自治体の収入として残ります。

それだけではなく、自分の市町村に在住の人が外部の自治体へ寄付することを考慮しなければなりません。仮に寄付金を獲得していたとしても、それ以上に住民税の税収が減ってしまえばマイナスになります。実際に、東京都や神奈川県などの自治体ではかなりの税収が減っており、集まった寄付金よりも住民税の減少の方が多い赤字の自治体も存在しています。

ふるさと納税は単なる寄付ですから、自分が現在住んでいる自治体へ寄付することはできます。先述したように、寄付金の一部が経費などとして中間団体へ流出するため、最終的に自治体へ残る金額は寄付をしないで通常の住民税を支払った場合よりも少なくなるかもしれませんが、寄付金の使い道を指定できるというメリットはあります。普通に住民税を納付すれば何に使われるか分からないお金に対して、ふるさと納税をすれば自分が抱えている不満を解消する活動に使うように促すことができます。

しかし、そこで問題となるのが現住所への寄付では特産品をもらえないケースが多いことです。そうなると、自分が現在住んでいる自治体よりも他県の市町村へ寄付することのインセンティブが強くなりますから、ふるさと納税を獲得できない自治体は税収が流出する可能性があります。

返礼品の提供企業

返礼品を提供した企業には、自治体から一定の金額が支払われます。例えば、「2万円の寄付を受けた場合には1万2千円を支払う」という感じです。仮に、原材料が8千円、梱包と配送料が2千円だった場合、残りの2千円が利益になります。このように、ふるさと納税の返礼品として自社の商品を提供することは販路の拡大につながります。しかも、自治体の職員が代わりに宣伝してくれることも魅力的です。ただし、今までなかった業務が増えたり、個人情報の管理が煩雑になったり、クレーム対応などの負担が増える可能性はあります。また、将来的にはふるさと納税の制度が変更や廃止になったり、返礼品についての制限が設けられるといった可能性も否定できず、ふるさと納税だけに頼った経営は長期的にはリスクが生じます。詳しくは「ふるさと納税で販路拡大、企業が返礼品の提供に協力するメリットとやり方」をお読みください。

自分の市町村に大手企業の事業所が存在し、そこの商品を返礼品にした場合、その商品を開発する上で関わった全く関係のない都道府県にある下請け企業や協力会社にまで売り上げが波及する可能性があります。A町を応援したいと思って寄付をしたのに、実際にはB市にある企業が儲かっているかもしれないのです。そのため、ふるさとチョイスでは大企業の商品や家電製品、換金性の高い品物など、サイトに掲載できる返礼品の基準が定められています。自治体からすれば、自分の市町村に住んでいる人たちに豊かになってほしいはずですから、自分の市町村に店を構える小売店が外部の卸業者から単に購入しただけの品物ではなく、野菜や魚介類などの一次産業や住民が独自に開発した加工品などを返礼品として用意すると良いでしょう。

ポータルサイト

ふるさとチョイスやさとふるなどのふるさと納税におけるポータルサイトは、ボランティアとして無償で運営されているわけではありません。例えば、ふるさとチョイスというサイトは「株式会社トラストバンク」という民間企業が制作・運営しています。もちろん、サイトの運営を通じて地方創生など社会に貢献していることは確かですが、株主のためにもゴーイングコンサーンのためにも利益の追求は絶対条件です。

例えば、ふるさとチョイスの場合には無料プランの他に有料プランが用意されています。単純に返礼品を登録するだけなら無料で行ってくれますが、サイト内に広告を掲載する場合には大きさや位置などに応じて費用が発生します。また、特集ページを作成したり、クレジットカード決済を導入する場合など、全国のライバルたちの中で寄付金を集めるためには自治体がお金を支払う必要があります。

寄付を多く獲得した市町村は、その分だけ次年度の宣伝や特産品の開発に使える予算が増えます。その結果、寄付金を数十億集めてふるさと納税に成功した自治体と、ほとんど寄付金を集められていない自治体の格差が広がって固定化しやすいです。

決済会社

市役所や町役場まで現金を直接持参することは現実的に困難ですから、大部分の人は銀行振込やクレジットカード決済などを利用することになります。その結果、ふるさと納税をすると決済会社には手数料が支払われます。ふるさとチョイスの場合はクレジットカード決済の代行会社として「Yahoo!公金支払い」を導入していますが、初期費用や月額費用、寄付金額に連動した手数料が発生します。銀行振込の手数料や現金書留の切手代などは寄付者の負担になる自治体が多く、クレジットカード決済の場合は寄付者の代わりに自治体が先述した手数料を支払っています。

ふるさと納税で損をする人や団体

それでは、逆にふるさと納税で損をしている人や団体はいるのでしょうか?そのことを理解する上で必要となる地方税や地方交付税の説明から順番に説明していきます。

地方税の減少に悩む田舎

私たちが納める税金は国税と地方税に分けられます。国税の具体例としては所得税や消費税などで、これらは国に納付されて社会保障や公共事業、防衛などの予算として使用されます。一方で地方税には個人住民税(道府県民税+市町村民税)や法人住民税、固定資産税などの種類があり、都道府県や市町村に納付されて住民サービスのために使われます。個人住民税の納付金額は収入の多寡に連動しますので、給料を多くもらっている働き盛りの現役世代が多いほど税収は増えます。また、法人住民税も同様で、利益を多く生み出している企業が多いほど増えるわけです。

しかし、地方には農業や漁業などの一次産業しか稼ぐ手段がないことも多く、若者は東京の大学に行ったきり、Uターンせずに東京の企業に就職するようになります。その結果、地方には働き盛りの若者は少なくなります。また、第三次産業のサービス業は人口密度が生産性に影響すると言われていますから、少子化や就職先の少なさなどによって人口の自然減と社会減のダブルパンチを受けている田舎では、サービス業の企業が定着しにくいです。このような背景から、地方では地方税の獲得に苦労している状況です。

人口減少が続いている地方の市町村であっても、いきなり人口がゼロになるわけではありません。残された人たちには生活できるだけの住民サービスが必要になります。高齢化が都会よりも先に進んでいる地方では、介護や医療に関するサービスは不可欠ですし、教育や子育て支援も需要があるでしょう。

そうした行政コストを減らすために、人口密度の低い田舎はコンパクトシティを推進するというアイデアもあります。しかし、コンパクトシティを実現するために、中心市街地に便利な交通網や商業施設を用意したり、一定区域内に住居を購入した場合には補助金を出したり、最終的には規制を設けたりして政策的に移住を進めることは、憲法で保障している「居住移転の自由」に反しないのかという問題もあります。また、人がいなくなって残された自然が荒廃したり、元々あったコミュニティが消滅することで文化を失うことになるかもしれません。実例として青森県のようにコンパクトシティが失敗した自治体もあり、こうした山積みの課題を解決する手段が見つかるまでは、人口が少ない地方の自治体でも行政サービスは必要になります。

地方交付税の仕組み

上述したように、税収の少ない地方の自治体であっても行政サービスを続ける必要があります。そのギャップを埋める役割を果たすのが「地方交付税」です。簡単な例を挙げると、一年間に住民サービスを維持するために50億円が必要だったとして、その年の税収が30億円しか見込めないのであれば、20億円の財源が不足してしまいます。その際に、地方交付税として国から20億円が支払われるのです。地方交付税の原資となるのは、国税として納付された所得税、法人税、酒税、消費税、たばこ税の5種類です。これらの税金の2割から3割ほどが、地方交付税の資金として使用されます。

地方交付税は普通交付税と特別交付税に分類され、大部分は普通交付税です。普通交付税の金額は以下の式で算出されます。

普通交付税額=基準財政需要額-基準財政収入額

基準財政需要額は標準的な行政サービスを行うために必要となる金額です。消防費や教育費など地方交付税法で定められた項目ごとに、例えば住民一人当たりの単位費用に人口と補正係数をかけて算出し、それらを合計した値になります。基準財政需要額の金額には何でも含められるわけではなく、合理的でかつ妥当な水準における財政需要を満たす標準的な金額のみが認められます。

基準財政収入額は、自治体に入る標準的な税収の金額です。個人住民税や固定資産税などの地方税に0.75を乗じた値で計算されます。残りの25%は「留保財源」と呼ばれ、想定外の税収の不足時などに使われます。また、地方交付税に依存するだけではなく、留保財源として一定の金額を残すことで、税収を増やす意欲を失わせないという目的があります。

しかし、日本はバブル崩壊以降の長いデフレ不況、リーマンショックと続き、現在も少子高齢化や将来の社会保障への不安、貧困世帯の増加などから決して好景気とは言えません。合計特殊出生率と希望出生率の差はすぐに埋まるとは思えず、少子化の解決は難しいでしょう。このまま少子高齢化が進めば、収入の多い現役世代が大部分を負担する健康保険制度や賦課方式の年金制度は崩壊するか修正が必要になるかもしれません。

国家予算の歳出では、社会保障費、地方交付税交付金、国債の元利払い費用の3つで全体のおよそ70%を占めています。単純な国税のみだと歳出が歳入を大きく上回るため、歳入の半分から3分の1程度は赤字国債(特例公債)に依存しています。現在の日本はGDPの2倍以上の債務残高があり、先進国の中でも世界最大になっています。将来的に国債が暴落してハイパーインフレになるかどうかは専門家の意見も分かれていますが、国の借金が増え続けて将来世代の負担を増やすのは歓迎できません。

このように、国の予算も苦しい状況が続いているため、地方交付税の交付金額は減らされています。その代わりに、「臨時財政対策債」という地方債の発行を認めて、必要に応じて地方公共団体の判断によって発行することができます。ただし、地方交付税の不足分は全額を臨時財政対策債に頼るのではなく、国と自治体で折半することになっています。具体的には、地方交付税の金額に対して法律で定められた国税の一定割合を充当し、それでも不足する場合には、その半分を国債の発行で対応し、残りの半分を臨時財政対策債で対応します。暫定的な制度ですが、平成29年度から31年度まで期限が延長されています。

臨時財政対策債は地方債の一種なので、これを発行すれば自治体の借金は増えていきます。ただし、臨時財政対策債を発行した分の元利償還費は翌年度の基準財政需要額に全額が算入されるため、その分の普通交付税は増えます。しかし、現在の景気では国の歳入も不足しているので、来年度の地方交付税の不足金額がさらに増大するだけで、臨時財政対策債の発行金額は膨れ上がっていく可能性があります。

ふるさと納税で地方交付税は減らない

ふるさと納税の制度で勘違いしやすいポイントは、寄付金を獲得しても地方交付税は減らないということです。その理由は、地方交付税の基準財政収入額にふるさと納税の寄付金は含めないからです。そのため、既に地方交付税に依存をしている全国の大多数の交付団体は、仮に寄付金を数十億円集めたとしても変わらずに地方交付税の交付を受けることになります。

他方で、寄付者のいる自治体には住民税の納付が減りますから、それだけ税収が減ることになります。ただし、寄付によって減少した金額の75%は地方交付税の増加によって補てんされるので、地方交付税の不交付団体以外にとって実質的な負担は残りの25%になります。

また、ワンストップ特例制度を利用しないで確定申告をする場合には所得税も控除されますから、その分の国税が減少します。上記の内容をまとめると、ふるさと納税によって以下の団体は損をすることになります。

・寄付者の住む自治体(減少した住民税の25%)
・国(所得税の控除)
・国(減少した住民税の75%に相当する地方交付税の増加)

自治体や国の税収が減れば、それだけ住民サービスが悪化する可能性があります。つまり、寄付者や特産品の提供企業などが得をしている一方で、ふるさと納税をしていない人達に負担を求めていることになります。

使い道が重要

上述したような負担を与えている一方で、獲得した寄付金は留保財源と同じように自治体が自由に使うことができます。基準財政需要額に算入できないような投資的な設備に使ったり、観光振興のイベントを開催したり、医療費や保育料を無料化したり、来年度のふるさと納税の宣伝費用として使ったりと、様々な使い方ができます。

しかし、先述したようにふるさと納税では地方交付税は減らないので、その使い道が重要になってきます。例えば、将来的に何ら価値を生み出さない施設に巨額の資金を投資されて、維持費や人件費などで赤字になるような取り組みは地方創生とは言えず、税収が減って負担が増えている人たちがいることを考えればあってはならないことです。炭鉱施設や観光施設を次々に買収して借金を増やし、最終的に財政破綻をした北海道夕張市の例もあります。現在でも巨額の税金を投入して新たに道の駅や請願駅を建設するという話を耳にしますが、そうした投資が将来的に価値があるのか疑問に感じてしまうことがあります。

ふるさとチョイスから寄付をする際には、申し込み画面から寄付金の使い道を自由に選択することができます。例えば、「ここの町は子育ての取り組みが素晴らしい、もっとやってほしい」と思うのであれば、そのような使い道を選択すれば良いです。その際は、使い道の候補として掲載されている内容が「芸術・文化の振興に関する事業」のように抽象的で何に使われるかイメージのつかない自治体よりは、具体的な使い道が詳しく記載されている方が自分の価値観とのギャップが少ないはずです。また、山形県天童市のように、市町村のホームページを見ると過去に集めた寄付金がどのように使われたのか実績を詳しく公表している自治体があり、そのような透明性のある市町村には安心して寄付できます。

使い道の選択では、全国的に「市や町におまかせ」という回答が多くなっているようです。確かに、外部の市町村に住む人が何も分からずに口出しするくらいなら、現状の課題について深く認識している自治体に任せるという選択肢もあるでしょう。しかし、返礼品の良し悪しだけが基準になって使い道について気にしない人が増えれば、市町村側も寄付金を好き勝手に使ってしまうかもしれません。実際に、佐賀県のある自治体では寄付金を議員への支給に使う提案をして批判を受けました。寄付をする際には使い道について調べて、自分なりに真剣に考える人が増えれば、寄付金がどのように使われるのかチェック機能が働くようになります。そうすれば地域おこしにつながらないような無駄な使い道は減りますし、使い道が寄付をするかどうかの重要な要素になって、自治体側も寄付金を使って優れた取り組みを始めるようになるかもしれません。

まとめ

今回の記事では、まず最初にふるさと納税をすることによって誰が得をするのか説明してきました。寄付者や寄付を受けた自治体はもちろんのこと、返礼品を提供したお店やふるさと納税のポータルサイトを運営している会社など、幅広くお金が巡っていくことが分かります。その一方で、寄付者が住んでいる自治体や国の税収は減ることから、ふるさと納税をしていない人たちへの住民サービスが低下することになります。また、集めた寄付金は地方交付税の基準財政収入額に算入されないため、その使い道が重要になってきます。寄付をしていない人たちへ一定の負担を求めているからこそ、地方の活性化に意味のない投資に寄付金が使われないように、寄付金の使い道について真剣に考えて市町村を選択し、自治体の取り組みを監視していくことが大切だと思います。

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